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<58>東京に根付く徳之島の味と絆 麺友 一誠(東京都新宿区)

2017年6月1日

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東京都新宿区高田馬場3の13の3。ラーメン670円、皮付きチャーシューラーメン720円。午前11時半~午後3時、同5時半~同11時。日曜と祝日の月曜が定休日。03(3360)6336。

 若者の街にはラーメン店が集まる。東京を代表する学生街、高田馬場も都内有数の激戦区である。「麺友(めんゆう) 一誠(いっせい)」(東京都新宿区)は、その地で長年親しまれてきた。店を訪ねると、その歴史は店主の出身地である鹿児島・徳之島の味と絆に支えられていた。

 夕方に行くとほぼ満席。店主の松田秀康さん(45)が調理で動き回り、姉かつみさん(48)が注文や配膳をこなしていた。「TOKUNOSHIMA MY SOUL ISLAND」と書かれたおそろいのTシャツが印象的だ。

 さっそく一杯を頼んだ。白濁スープにほうれん草ともやし、皮付きチャーシューが載る。見た目は横浜家系ラーメンっぽいが、しょうゆは控えめで異なる。すっきりした味わいは博多ラーメンとも違っていた。松田さんは「徳之島にラーメン文化はありませんから。最初に学んだのはアメリカです」と教えてくれた。

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 徳之島出身者の多くが高校卒業後に島を離れる。松田さんも上京し、専門学校を卒業した。しかし当時は就職難。途方に暮れていたところ、いとこの重田光康さん(51)が声を掛けてくれた。島出身の重田さんは福岡市の大学を卒業後に渡米し、1992年にロサンゼルスで焼き鳥店「新撰組」を出店していた。

 現在、日米で14店を展開するまでに成長した新撰組の多店舗化は、96年のラーメン店開業を皮切りに始まった。福岡から職人を呼び寄せるなど「博多の味」にこだわった店。ちょうど渡米直後だった松田さんはオープン時からその職人の下で修行した。「働きづめだったけど、勉強になりました」

 ビザの関係から約2年で帰国した松田さんは、軽トラを使った屋台を始めることになる。豚骨に鶏がらを混ぜてスープを改良。チャーシューは「島の祝い事で出ていて、昔から大好物だった」という皮付きにし、現在の味の原型ができあがった。

 2002年、今の場所に店を構える。店名は、亡き父、友一さんと、新選組のシンボル「誠」を組み合わせた。重田さんは「秀康らしくこつこつと、本物の味を追求してほしい」とエールを送る。

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 徳之島の焼酎、ゴーヤーチャンプルーなどの郷土料理も置き、夜も客足は途絶えなかった。「味はもちろん、東京っぽくない居心地の良さも魅力です」。ラーメンをすすっていた常連、森山康夫さん(37)はそう話した。胸に抱く6カ月の長男を「一誠」と名付けたほどのファンという。

 島から1300キロ以上も離れた東京にしっかり根を張り、受け入れられている。「激戦区ですが、密接な人付き合いもある地域。この場所で良かった」。松田さんはしみじみ語った。
 (小川祥平)


=2017/06/01付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞

情報提供: 西日本新聞

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